2020年1月3日

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この日は朝からBurdanが、Batamバタムの離島のBelakang Padangブラカンパダン島に行こう!と誘ってくれたので、朝8時に姪っ子たちとSekupangセクパン港に集合。
Nagoyaナゴヤ地区からChachaの車で30分くらいでした。

朝から離島へ何しに行くんだろ?と思っていたら、朝ごはんを食べに、と言うことらしい。わざわざ渡し船に乗って朝ごはん??
昨夜は12時過ぎまでInul Vistaイヌルフィスタで甥っ子姪っ子たちと恒例のカラオケで、私は疲れてて眠いです。

シンガポールとBatamバタムを繋ぐSekupangセクパン国際フェリー港の隣にある、ローカル便の小さな港は朝から結構人がいます。

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チケットを買って船着場に出ると、そこにはフェリーとは大違いのまさに「渡し船」と呼べる木造のボートが。
京都で小津川下りで乗った観光用の手漕ぎ舟と似てます。でもエンジン付きで結構なスピードで海上を跳ねるように疾走します。
日除けのビニールの屋根があってなかなか快適ですが、高速で移動するので揺れがすごくて、子供たちはきゃあきゃあ騒いで喜んでいます。さっきまで携帯いじって下向いてたのに。
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しばらく海上を移動すると、水平線にシンガポールの高層ビルの影が見えます。改めてシンガポールとBatamバタムは近いんだなあと感じました。
沖に出ると波が高くなってきて、船頭さんが両側のビニールのカーテンを下ろして波しぶきを避けてくれるのですが、おかげで何んにも見えません。

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15分も経たないうちにBelakang Padangブラカンパダンの港に着きました。海に柱を立てて造られた桟橋状の古い建物が並んでいる様子は、なかなか見ることができない風景です。
Batamバタムも昔はこんな感じだったんだよ、と妻が言いました。
港からもシンガポールが見えます。すぐそこです。Belakang PadangブラカンパダンはBatamバタム島の西側で、シンガポールは北の方角なんですが。

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船を降りて桟橋から道に出ると、狭い路地の両側にひなびた食料品店やrumah makan食堂が建ち並んでいます。干物や手作りのkerupuk揚げせんなどを売っている店が多くて、何とものどかな、時代がどこかの昔で止まっているような、異国の辺境の地なのにまるで日本の昭和の漁村のようです。
「時間が止まっているような」と言う表現はあまりにもありきたりですが、50年くらい前で止まっているのかな、でも50年前はここにはまだ電気もガスも水道もテレビもなかったかもしれないなあ、などと想像していました。

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食べ物を売っている店ばかりではなくて、床屋もあればイスラム教徒のヒジャブの店なんかも並んでいて、洋服店では「Rakuten」と書かれたNikeのマークの服も売ってます。地元の人たちの生活が見える小さな商店街です。それに意外とたくさん人が住んでいる島のようです。

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店の表でroti prataロティプラタを焼いているrumah makan食堂みたいなカフェに入りました。
インドネシアやシンガポールで一般的なRoti prataはマレーシアではroti canaiロティチャナイと言うそうですが、ナンに似た感じの鉄板焼きのインド風のパンでカレーソースにつけて食べる素朴な食べ物です。

店内の席はかなり混んでいて、ごめんやっしゃ、と人をかき分けて奥のテラス席へ。
海の上に迫り出した木造テラスは眺めが最高です。朝の陽の光で海がキラキラしていて、波打ち際には大量のペットボトルゴミが漂着しています。笑
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妻が何食べる?と私に聞きますが、メニューがないのでよくわからず、この島で有名な食べ物とかあるの?と聞いてみたら、
Mie lendirミーレンディールと言うmie rebusミーレブス(ゆで麺)が有名だよ、と。
じゃあそれにしよう。
姪っ子たちはroti prataを食べたいそうで。

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最初にBurdanが全員の分のes cendolエスチェンドルを注文したので早速出てきました。
何度かBatamバタムでes cendolを食べたことがありますが、ここのカフェのはsantanココナッツミルクが冷やして固めてあります。きっと油脂分が多いのか、すごく濃厚で美味しい。

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Mie lendirとroti prataが来ました。見た目はよくあるsaus kacangピーナツソースのmie rebusですが、jahe生姜が効いていて辛くてめちゃくちゃ旨い。

結局皆さん小食なのでroti prataが余ってしまって、私が平らげました。何だか素朴でシンプルな食べ物なのに、すごく特別な味に思えて激ウマです。
なるほど、わざわざ離島まで朝ごはん食べに来た理由がわかりました。このカフェは景色も最高だし、味も絶品なのでした。
もちろんタバコは吸いたい放題、灰皿なんかなくてテーブルの足元に吸い殻をポイと捨てるのが当たり前のようです。

Burdanがそそくさと席を立って会計をしようとしているので、慌てて私は駆け寄って、まあまあ今日は私が払うから、いやいやとんでもない俺払いますよ、ダメダメここは私が、みたいになって店のおばちゃんに笑われました。
いくらだと聞くと、ものすごく安い。8人でRp200.000ちょっと、日本円で1600円くらいでした。1人前200円くらいです。

朝食を終えてぶらぶらしてみよう、と言うことで。Burdanが案内してくれたのは、becakベチャッ乗り場。三輪自転車のタクシーです。
Medanメダンでたくさん見たbecakは、バイクを改造してサイドカーに囲いをつけたようなやつでしたが、昔ながらのbecakと言うとこう言う自転車なんだそうです。Batamバタム島では見たことがありません。
観光客のアトラクションかと思いきや、普段の地元の人たちの足として使われているそうで、何とものんびりした雰囲気です。
島内を1周するツアーみたいなやつをBurdanが頼んでくれて、二人ずつに分かれてbecakに乗り込みます。
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お尻がLサイズの妻と二人乗りするとだいぶ狭くて密着してますが、まあ座り心地は悪くないです。人力車みたいに仰向けに倒れるわけでもなく。運転手のおっちゃんは後ろでペダルを漕いでいるので、真正面に道路や風景が見えてこれはイイです。
結構日差しが強いのですが、日除けの屋根があるので暑くなくて、快適です。

坂道の多いコンクリート敷きの道を炎天下で大人2人を乗せてペダルを漕ぐおっちゃんはすごいです。囲いがあるので姿は見えませんが、全くペースを乱さず運転します。プロです。段差のガタンゴトンする衝撃なんて気にしないし、カーブでスピード落とすこともしません。

もともと、この島には何んにも有名な観光スポットはないので、ただただ普通の住宅地の道を進んで行きます。歴史的な建物も、インスタ映え好きが喜ぶ絶景スポットも、何もありません。 
ネコがあくびしながら散歩してたり、イヌが寝てたり、ニワトリが道路を渡っていたり、人ん家に洗濯物が干してあったり、まるっきり普通の田舎町の風景です。
でもここは異国の辺境、何もかもが日本と違います。道も草木も、建物も、看板も、店も、歩く人びとやバイクですれ違う人たちの雰囲気も、全てが見慣れないことばかり。私が外国に行って求めていることはこういうことです。

妻が、あれはマングローブだよ、と教えてくれます。写真やテレビで見たことはありましたが、海の浅瀬にびっしり木が生えていて葉っぱが茂っているのが、何とも不思議です。

一般的に海外旅行に行く人は、有名な建物やアトラクション、マリンスポーツ、遊園地、ブランド品の買い物、絶景スポットでのインスタ撮影、海辺のコテージでのマッサージ、ファイヤーダンスショー、花とキャンドルで飾ったディナー、などを求めているかも知れません。
それかバックパッカーの人はいかに安宿に泊まって安い食べ物を食べてお腹をこわして苦労しながら名勝地を数多く周るかを競って、村の子供たちと歌を歌ったりサッカーをしたりするのが旅の醍醐味なのかも知れません。 
でも元々旅行じたいにあまり興味がない私には、どれも全く魅力がありません。
むしろ、小汚い街で仕事をさぼってたむろしているおっさんたちのいる通りを歩きながら、野良猫に足元にまとわりつかれながら、生活用品を売っているごちゃついた店を覗き込んだり。
ドリアンの香りなのか下水の臭いなのか生ゴミの臭いなのか混じり過ぎてわからない匂いが漂う歩道で蓋の開いたドブに落ちそうになりながら古びたアパートを見上げて歩いたり。
何で部屋の壁をみんな薄緑色や水色のペンキで塗りたくっているんだろ、と観察したり。
ムスリムの服の人とタンクトップに半ズボンサンダル履きの人が入り混って歩いている姿をじろじろ見たり。
黄色い旗に魚やイカやアヒルの絵が描いてあるインドネシア語の屋台の看板をいちいち写真撮ってみたり。
うわあ、何じゃこりゃ、ていう驚きの連続で好奇心丸出しで街を見て周って、違和感があるけどどうでもいい風景を記憶に留めるのが私の海外での楽しみ方です。

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Belakang Padangブラカンパダン島には、その期待を遥かに上回るどうでもいい面白い風景が満載でした。
ものすごくとっ散らかった何屋だかわからない電気屋とか。20年くらい前の流行のレトロとはスレスレ違うダサい服ばかり売っている洋品店とか。そこにある鼻がもげたマネキンとか。ガラスケースの中で猫が昼寝している衛生的でない食料品店とか。
確かにBatamバタムにもそう言う雰囲気はありますが、離島の漁村ならではの、のんびりした静けさと、さびれているようで実は地元の人たちの活気を感じる街です。

観光地ではないのに、シンガポールやマレーシアからわざわざ出掛けて来る人も多いのだそうです。
でもインドネシア語とマレー語だけしか通じない街なので、マレー系の人たちしか来ません。

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お土産屋さんらしきものはなくて、地元の人たちの食料品店でたくさんお土産が買えます。しかも物価の高いBatamバタムに比べると破格に安いのです。
妻や姪っ子たちはものすごい数のkerupuk ikan魚の揚げせんや、調味料などを買い漁っています。
その様子は何だか、日本人のおばちゃんがよくお土産屋さんや道の駅で漬物や干物、せんべいなんかを爆買いして後でおばちゃんどうしで分け合ったりしているのに似ているなあ、と思う私でした。
Belakang Padangのkerupuk ikan魚の揚げせんは激安ですごく美味しいのです。

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Belakang Padangブラカンパダン島のお土産の中で、いちばん不思議で衝撃的だったのは、teh tarikインド式ミルクティーと、kopi susu練乳入りコーヒーです。
まず容器がテキトー過ぎるでしょう!何でビールの空き瓶に入れて、ビニールと輪ゴムで止めてあるのか。見た目はまるで昔、町内会で配布されたドブに撒く蚊除けの殺虫剤です。
姪っ子が何本もたくさん買って、1本ずつ分けてくれました。
持って帰るときにびっくりしたのは、どちらもアツアツなのです。
後でホテルに帰って飲んでみたら、どちらもBatamバタムのそのへんのkedai kopi屋台カフェなんかに比べても負けずとも劣らず、かなり美味しいのです。Belakang Padangブラカンパダン島は何でも美味しいグルメ島なのか??

高速移動するジャンピング渡し船でまたSekupangセクパン港に戻って、その桟橋でこれまた不思議なものを見ました。

船を降りて桟橋を歩いていると、音楽が聴こえてきました。観光客が多いわけでもないローカルな港で、何で音楽がかかっているのかな、と思いながら。

何と、桟橋の真ん中で椅子に座ってカラオケを歌っている人がいるのです。hijabヒジャブ姿の女性です。ええ??こんなところで何でカラオケ???
通り過ぎざまによく見ると、もう一人隣に座る女性がいて、小さなテーブルの上にヤクルトを並べて売っていました。つまりヤクルトレディーの歌謡ショーなのです。

最初から終わりまで、面白くてしょうがない離島での朝食でした。たまらん。